放射線技師と医療安全!安全第一で事故を0にしよう!

放射線科と医療安全
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病院のお仕事で最も重要なことと言っても過言ではないのが医療事故を0にすることです。

今回は自分自身の備忘録として日本医療機能評価機構が行っている医療事故情報収集等事業を中心に技師に関わる事例を紹介していきます。

放射線部門での医療事故例

MRI室への金属(磁性体)持ち込み

MRI室への金属(磁性体)持ち込みは2007年4月1日~2014年7月31日の約7年間で20件も発生していますが、放射線技師が絶対に防がなければいけないことの1つです。

この事故で特記すべきことは20件中16件が病院で働く職員が持ち込んだことによるということ

患者さんへは事前の説明や同意書などで徹底的な周知が進んでいるため件数は減ってきていますが、職員への徹底的な周知はまだされていません。

MRI室に入っていく実体のある物質すべてに目を光らせましょう!

参考までに持ち込まれてしまった物のリストと件数は以下の様になっています。

  • 酸素ボンベ:5件
  • 輸液ポンプまたはシリンジポンプ:2件
  • アンクルウェイト :2件
  • トレッチャーと酸素ボンベ架台 :1件
  • 生児用ベッド: 1件
  • 点滴スタンド:1件
  • モニタ:1件
  • 体内留置排液用のドレナージバッグ:1件
  • 髪留め:1件
  • 清掃器材:1件

教授や医局長にも注意しよう!

普段MRI室に立ち入らないようなDr、特に教授や医局長など偉い人が来た時には要注意です!

もちろんMRIの危険性は100も承知でしょうけど、万が一という可能性もあります。。。

MRI操作室⇒検査室に入る前に声を掛けるという勇気も必要と言えるでしょう。

ポケットからスマホや院内PHS、電子製の職員カードを出してくれているのを確認できたら、良いのですが少しでも不安に感じたのなら一声掛けて下さい。

体内に植込まれた医療機器

ペースメーカーや人工内耳、植込み型除細動器、インプラントなどの医療機器が体内に植込まれてる人をMRI検査するときには、必ずその機器がMRIに対応しているのかを確認しなければなりません。

画像にアーチファクトができるだけならまだしも重大な事故に繋がりかねません!

またCTでも一部のペースメーカーが誤作動を起こすというのは有名な話。

MRI検査時の熱傷

MRIで注意しなければいけないことは金属だけではありません!

MRIのガントリー内部(筒の中)では高周波磁場が発生しているため、身体で輪っかを作ってしまうと高周波電流が流れる発熱する道ができ、誘導起電力が発生して誘導電流が流れます。

この誘導電流が原因で発熱し、皮膚に熱傷を生じさせてしまうのです。

言葉ではどうにも説明しにくいので、図はこちら。

mriのループ熱傷

出典:http://www.med-safe.jp/pdf/med-safe_56.pdf

僕自身は初めてMRI検査を受けたのが放射線技師になってからだったので、ループを作ってはいけないということを知っていたがために凄く疲れました。

3テスラという高磁場機種でSAR(比吸収率)が1.5テスラの4倍!と発熱リスクも高かったこともあり、ループだけは作らないぞ!と意気込んでいたため手も足も体幹部に触れない様にピン!と真っ直ぐにし続けたからです( ノД`)シクシク…

結局、ギコギコ音が心地よくて寝てしまいましたが。

コンセント容量の事故

何気に怖いと思ったのがこの事故。

簡単に言ってしまうとたこ足配線をしすぎると発火の危険があるよ!ということです。

最近の病院はとにかく電子機器だらけで、特に以下の病室は歩くだけでも細心の注意が必要なぐらい電子機器&各々のチューブだらけ。

  • ICU(集中治療室)
  • CCU(冠疾患治療室)
  • NICU(新生児集中治療室)

そしてポータブル撮影に行く頻度が高い病室なので、ポータブルX線装置のコンセント差す場所にも気を付けないといけないということです!

たこ足配線がされている中にポータブルを追加で差し込むのは避けましょう。

 患者さんの間違い

絶対にあってはならないのが患者さんの間違い!

医療安全管理に関する研修に行くと必ずといって良いほど1999年に起きた横浜市立大学病院での手術患者の取り違えが紹介され、耳が痛いほどですがそれほど重要だということです。

僕の病院でも各検査を受けるまえには患者さん自らお名前を名乗ってもらうようにルール化されています。

胃X線透視中の転落死亡事故

平成27年5月8日に全日本労働福祉協会群馬県支部が実施した胃部エックス線の集団検診中に、受診者の一人が透視台から滑落し死亡したという事故が発生した。胃部エックス線検査中に起きた
死亡という極めて重大かつ稀有な事故であることから、全日本労働福祉協会は、事故の原因、事故発生に至る状況、事故への救急対応等の解明及び再発防止策の策定を目的に事故調査委員会(資料
1)を設置した。

出典:http://www.zrf.or.jp/news-pdf/20150626x-2-1.pdf

マーゲン透視中に起きた撮影台からの転落事故ですが、主な原因は設置するべき肩当てを忘れていたという絶対にあってはならない初歩的なミス。

また胃透視については検査の有用性、被曝リスクを中心に様々な議論がされていますが、今後はどうなっていくのでしょうか?

x線透視撮影装置

出典:http://www.info.pmda.go.jp/ygo/pack/650053/12B1X00004900019_A_01_01/

スぺクト検査による死亡事故

愛知県一宮市の「総合大雄会病院」は20日、同県江南市の女性患者(74)が院内で検査中に機器に挟まれて死亡したとして、県警一宮署に届け出たことを明らかにした。

同署で詳しい原因を調べている。

同病院によると、女性は肺血栓の手術を前に、同日午前11時半頃から、放射線を使った画像化装置で肺の血流機能を調べていた。装置は、回転する円形の撮影機内にベッドが入る仕組みで、転落防止のため、女性の胸や太ももなどはベルトで固定されていた。

検査開始から約1分後、女性がベッド上で暴れ出して転落したため、検査を中止。看護師らが助けようとしたが、女性は撮影機とベッドの隙間に胸部を挟まれ、3時間後に死亡が確認された。死因は窒息死。同病院は事故調査委員会を設置して詳しい原因を調べる。

出典:http://jump.2ch.net/?www.yomiuri.co.jp/national/20151121-OYT1T50039.html

こちらは核医学・SPECT検査による死亡事故です。

SPECTという医療機器を知らない方にとっては良く分からない事故でしょうけど、SPECTを知っている方にとっては事故の状況を想像できるのではないでしょうか?

装置には挟み込みや接触を防ぐためのセンサーがついていますが、患者さんが暴れたことにより正しく動作しなかったようです。

※spect検査については以下の記事にまとめてありますので、宜しければ参考にしてみてください。

核医学とRI検査のspect説明

核医学・RI検査とは?体内に放射線を出す薬を入れて画像化します!

2016.09.22

レントゲン写真の偽装

 大阪市民病院機構は14日付で、市立総合医療センターの係長級の放射線技師2人が、誤って左右逆に撮影された患者のX線画像を反転処理して医師に送ったとして、停職3カ月の懲戒処分にしたと発表した。

 機構によると、新人指導担当の男性技師(51)は今年6月、医師から患者の胸のX線画像を右側から撮るよう指示された新人職員が誤って左側から撮影したことに気づいたが、独断でパソコンで画像を反転。同僚の男性技師(57)は指導担当技師に頼まれ、医師に偽装の画像を送った。治療に影響はなかった。

出典:http://www.asahi.com/articles/ASJBG45LDJBGPTIL00D.html?ref=newspicks

胸部レントゲンをDrオーダーのR⇒LではなくL⇒Rで撮影してしまったけど、画像反転でR⇒Lで撮ったように偽装したという事故と言うか事件ですね。。。

悲しいのは51歳と57歳の技師が偽装を首謀したということ。

診断に影響はないと判断したそうですが有り得ない事例です。

安全第一の検査を提供しよう

放射線技師の不注意等が原因で起きてしまった医療事故は決して少なくはなく、近年は死亡事故も起きています。

僕の病院でも放射線部門からのヒヤリハット報告書の提出も看護部門に比べると少ない(危機予知能力が低い)とご指摘を受けたこともあり、決して他人事とは思わず明日は我が身として医療安全について考え直していきたいです。

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