放射線業務に携わる診療放射線技師をはじめとする放射線業務従事者は特別な健康診断を受けなければいけません。
労働安全衛生法の電離放射線障害防止規則内で「電離放射線健康診断」と銘打たれているので、一般的に電離放射線健康診断と呼ばれています。
第五十七条
事業者は、第五十六条第一項又は第五十六条の二第一項の健康診断(法第六十六条第五項 ただし書の場合において当該労働者が受けた健康診断を含む。以下この条において同じ。)の結果に基づき、第五十六条第一項の健康診断(次条及び第五十九条において「電離放射線健康診断」という。)にあつては電離放射線健康診断個人票(様式第一号の二)を、第五十六条の二第一項の健康診断(次条及び第五十九条において「緊急時電離放射線健康診断」という。)にあつては緊急時電離放射線健康診断個人票(様式第一号の三)を作成し、これらを三十年間保存しなければならない。
ただし、当該記録を五年間保存した後において、厚生労働大臣が指定する機関に引き渡すときは、この限りでない。
別の記事で電離放射線健康診断個人票の作り方を紹介しましたが、今回はもう1つ作っておきたい書類である問診票について紹介していきます。
問診は必ず受けなくてはなりませんが、問診票については必ずしも作る必要はないようです。
が、保健所の立ち入り検査のときに「問診票は無いんですか?」と突っ込まれて以来、私は作るようにしています。
なので、各地域や保健所職員によっても違うと思いますが、同じように突っ込まれたり指摘された方に向けて+自分への備忘録としてサラッと書いていきたいと思います。
電離放射線健康診断の問診について
各規則で定められている
電離放射線健康診断では一定の条件(医師が必要でないと認めるとき)を満たせばと皮膚や目の検査を省略することができますが、問診は必ず行わなければなりません。
各規則や法では以下の様に定められています。
電離放射線障害防止規則(56条)
(健康診断)
第五十六条 事業者は、放射線業務に常時従事する労働者で管理区域に立ち入るものに対し、雇入れ又は当該業務に配置替えの際及びその後六月以内ごとに一回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。
一 被ばく歴の有無(被ばく歴を有する者については、作業の場所、内容及び期間、放射線障害の有無、自覚症状の有無その他放射線による被ばくに関する事項)の調査及びその評価
放射線障害防止法(22条)
五 問診は、次の事項について行うこと。
イ 放射線(一メガ電子ボルト未満のエネルギーを有する電子線及びエックス線を含む。次のロ及び第二十三条第一号において同じ。)の被ばく歴の有無
ロ 被ばく歴を有する者については、作業の場所、内容、期間、線量、放射線障害の有無その他放射線による被ばくの状況
人事院規則一〇―五(職員の放射線障害の防止)(26条)
(健康診断)
第二十六条 放射線業務従事職員に係る規則一〇―四別表第三第二号に掲げる業務に係る同規則第十九条第一項の健康診断及び同規則第二十条第二項第二号の特別定期健康診断(次条第一項の規定によるものを除く。)の検査の項目は、次に掲げるものとする。
- 一 被ばく経歴の評価
- 二 末梢しよう血液中の白血球数及び白血球百分率の検査
- 三 末梢しよう血液中の赤血球数の検査及び血色素量又はヘマトクリット値の検査
- 四 白内障に関する眼の検査
- 五 皮膚の検査
項目と書き方
各規則で色々書いてありますが、問診項目をまとめると以下のようになります。
- 被曝歴の有無
- 作業の場所
- 作業の内容
- 作業の期間
- 放射線障害の有無
- 自覚症状の有無の調査及び、その評価
項目は電離放射線健康診断個人票とほぼ被っているので記入する内容で悩む必要はありません。
自覚症状の有無についての項目例は以下の通り。
- 疲れやすいですか
- 立ちくらみ・めまいがしますか
- 体重が急減しましたか
- 下痢をしたり、血便になることがありますか
- 出血をすると止まりにくいですか
- 皮下出血がありますか
- 医師に白内障(水晶体の混濁有)と言われたことがありますか
- 痰に血が混じることがありますか
- 皮膚に治りにくい傷や赤い斑点ができたりしますか
- 皮膚の色がかわっているところがありますか
- 手足がしびれたり痛んだり、感覚の異常がありますか
- その他、自覚症状がありますか
問診票の様式
参考までに私が使っている問診票を紹介します。
サンプルとして見て頂ければ幸いです。

こちらは私が保健所からもらった様式をエクセル形式にして作ったもので、私の地域ではこの問診票で通用しています。
問診票を作りたいけど様式が無くって困っている方は、自由に改変して使って下さい。
その他、色々調べてみましたが、問診票については公共機関が定める様式は無い!?みたいですね。
参考までに厚生労働省発の電離放射線健康診断個人票のダウンロードは以下のURLからどうぞ。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei36/10.html
まとめ
放射線従事者の電離放射線健康診断は雇入れの際または当該業務への配置替えの際およびその後6ヶ月以内ごとに1回受ける必要があり、電離放射線健康診断個人票と問診票を作成して保管する必要があります。
大きな病院や会社なら上司や事務部門に任せておけば安心ですが、小さな病院などでは1から自分で作る必要があり意外と大変です。
当記事が少しでも参考になれば幸いです