X線を照射して人体内部の断面像の撮影ができるX線CT検査ですが、受けるときの服装で悩む人は多いようです。
そこで今回はCT検査を実際に担当している放射線技師が、検査に適した服装についてまとめていきます!
最初に答えを書いてしまうと病院やクリニックには検査着が用意してありますし、何を着ていっても着替えればOKです。
悩み考える必要はないのですが、あらじかじめ知っておいたほうが良い事についてCT画像を交えながら紹介するので参考にしていただければ幸いです。
目次
CT検査を受けるときの服装と注意点
一言にCT検査とは言っても撮影する部位によって服装の注意点は異なるので部位別に分けて解説します。
頭部
頭部CTは当然のことながら頭部が撮影範囲となるので、眼鏡やピアスといったアクセサリー類は外す必要があります。
撮影時に外さなければならない物の例
- ピアス
- イヤリング
- 眼鏡
- 補聴器
- ヘアピン
- 入れ歯
- ウィッグ、カツラ
- ネックレス
- などなどが挙げられます。
外せる物は外して下さいということですね。
カツラやウィッグを付けている方は当日は外してくるか、検査前にササッと外せるようにしておくのがベター。
嘘をついて付けまま撮影すると、できあがった画像を見れば絶対にバレルので必ず外してください!
つけまつげやマツエクは事前に検査を受けることが分かっているなら付けてこないようにしましょう。
では何故、外すように言われるかというと金属があると撮影した画像に悪影響を及ぼしてしまうからです。
こちらは脳動脈瘤のコイル塞栓術をうけた人の頭部CT画像。

コイルが原因で白い線が放射状に写っていますが、金属が原因で読影を妨げるアーチファクト(障害陰影)を発生させてしまうのです。
専門用語ではそのままですがメタルアーチファクトと呼ばれています。
もし脳内に病変があったとしてもアーチファクトのせいで見えづらくなったり、読影のとき見落としの原因になります。
こちらはインプラントから発生したメタルアーチファクト。
画像の前部分に半円状に並んでいるのが歯列で、白く放射状になっている部分はインプラント部分。

今回紹介した画像は脳内のコイルと口腔内のインプラントですが、身体の外にあっても同じようにアーチファクトが発生します。
MRIで金属持ち込みが禁止の理由
CT装置と見た目そっくりなMRIでは金属を検査室内に持ち込むことすら許されません!
理由は以下の画像の通り金属を吸い込んでしまうからです。

MRIの吸着事故
詳しくは以下の記事をご覧ください。
胸部CT
胸部CTの場合は撮影範囲が首~臍あたりまでなので、頭部CTで外す必要があった眼鏡やピアス、補聴器、カツラ等は付けたままでOKです。
アクセサリー類でいうとネックレスは肺の上部と重なりNGとなりますので外すようにしましょう。
そして胸部ということで気にしなければならないのが洋服、そして女性であれば下着・ブラジャーです。
着替えることなくササッと検査を受けたいなら肌着+Tシャツを着ていきましょう!
ブラジャーはワイヤーのプラスチック素材、ホックの金具が写ってしまうので、外して検査をすることになります。
こちらの記事でも紹介していますがブラジャーを付けたままだと、胸のサイズが分かるようにはっきり写りますしね。。。
付けていないと嘘をついても絶対に後で分かりますし、恥ずかしい思いをするだけなので外して下さい。

こんな感じで写ります。
その他、ジャケット等の上着やトレーナーやパーカーなども脱ぐように言われます。
Tシャツに関しては着たままでOKですが、スパンコールなど派手な装飾がされているアバンギャルドな服だと脱ぐように言われるでしょう。
ブラトップやシリコンブラは外しましょう
ブラトップやシリコンブラ、ヌーブラなど金属を使ってない下着が増えていますが、胸部CT検査の際には外すように言われることが多いです。
付けたまま撮影しても画像には大きな影響を及ぼすことはありませんが撮影画像に写りますからね。
この画像はシリコンによる豊胸手術を受けた女性の胸部CT画像。
もちろんシリコンは外せませんし画像に悪影響も無いので撮影は可能ですが、はっきりと写ります。

シリコン、ゲル状の素材でできている下着でも同様で、上記の画像のように写ってきますから、CT画像の結果を聞くときに恥ずかしい思いをしないためにも外して検査を受けることをおすすめします。
腹部・骨盤CT
腹部・骨盤CTでは剣状突起(みぞおちの辺り)から骨盤上部、もしくは恥骨までを範囲としますが男女ともに問題になってくるのはベルトですね。
僕の病院では腹部から膝あたりまで隠せるようなタオルを掛けて、ズボンごと膝上あたりまで降ろして貰っています。
ベルトだけを外してもジーンズだったりすると、ボタンがメタルアーチファクトの原因になりますからね。
手っ取り早く検査を受けたいならジャージやスウェットがオススメです。
こちらの画像は人工股関節が原因によるメタルアーチファクト。

その他、コルセットも外さなければなりませんがコルセットを外すと辛いという方は、CTのベッド上に腰を掛けてから外しても何の問題もありません。
検査を担当する技師に伝えれば装着・脱着を手伝ってくれますので気を使わず申し出て下さい。
腰の状態が悪いのにCTがあるからといって当日に家から外してくる必要はありませんよ!
ボディスーツ、湿布、エレキバンも外しましょう
CTでは外せる物は外すが基本なので湿布やエレキバン、貼るカイロなども外して検査を受けて下さい。
湿布程度であれば画像に影響を及ぼすといったことは無いのですが、誤診の原因となることも無いわけではありませんからね。
ボディスーツなど矯正下着も外す必要があるので、CT検査を受けると分かっているなら身に付けないようにしましょう。
付けていると本来の身体の状態とは違う訳ですからね。
手足などその他の部位
CT検査は頭と胸部、腹部、骨盤部しか撮影できないと思っている人もいるみたいですが、CTの筒の中に入りさえすれば何でも撮影できるので手足や腕部、脚部も撮影できます。
四肢を撮影する場合は、その部位に付いているアクセサリー、湿布類は外しましょう。
- 指輪
- ブレスレット
- アンクレット
毛糸を編み込んだアクセサリーやミサンガについても、薄っすらと写るので外して下さい。
手指のCT検査が必要な方でネイルチップをする人はほぼいないと思いますが、もし指の撮影をすることになったらネイルチップや派手な装飾は辞めておきましょう
ペースメーカー、植込み型除細動器(ICD)
撮影部位に関わらず心臓にペースメーカー、除細動器(ICD)を植込んでいる方は必ずDrまたは放射線技師まで申出て下さい。
検査を受けられないわけではありませんが受けるにあたっては注意が必要となります。

出典:http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/12/dl/s1225-15c.pdf
腕を挙げる理由
最後に服装ではありませんが知っておいて欲しいことを紹介します。
胸部、腹部、骨盤部のCTを撮る時には両腕を挙げて頭の上で組んでもらっていますが、この理由としては腕への無駄な被ばくを避けるためというのが1つ。
さらに説明すると腕からのアーチファクト抑制、また腕が撮影範囲に入ることによる放射線量の増加を抑えるためです。
CTに限らずレントゲン、MRIなどでは検査を受けるときに放射線技師からあれやこれや言われるのでイライラされる方もいるかもしれませんが、正しく検査を受けないとあなた自身が不利益を被ってしまうことになることを知って下さい。