病院のレントゲン室や胸部写真を撮る検診バスに入ると多くの人が部屋の薄暗さを感じます。
ただでさえ得体のしれない放射線を浴びせられるだけで不安なのに部屋まで不気味というダブルパンチですが、なぜレントゲン室は薄暗いのでしょうか?
もちろん僕ら技師も好きで暗くしてるわけではありません。
明るくても撮影はできますが、 暗いほうが技師にとっても患者さんにとっても良いからこそ、部屋が薄暗くなっています。
今回は部屋が薄暗い理由と、診療放射線技師が使う照射野という専門用語について解説していきます!
レントゲン室が暗い理由は照射野を確認するため
なぜ薄暗いかと言うと「暗くすると放射線が目で見えるようになるから!」
という理由では無いんですけど、意味合いとしては近かったりします。
正解は 「暗くすると放射線が照射される場所、範囲が分かりやすくなるから!」です。
例として左手のレントゲンを撮影するときで説明してみます。
左側は明るい部屋で右側は薄暗い部屋!
下の黒い板はフィルムです。
普通手の写真は手の甲を上にして撮りますが、ちょっと傷的なものがあるので今回は逆向きで説明します(笑)

レントゲン室が薄暗い理由を手の写真で説明
パッと見で何が違うかというと写真の明るさ。。。ではなくて手の周りにぼんやりと見える長方形状の光です!
右側のほうが見やすいですよね!?
この光が当たっている範囲だけに放射線は照射されます。
X線が照射される範囲=照射野を見やすくするため部屋を暗くしてあるのです!
ちなみに読み方は「しょうしゃや」です。
放射線が当たる範囲が分からずに撮影すると撮影対象外の部位まで放射線被曝をさせることになるので、撮影前には照射野を必ず確認するわけです。
極端に言うと胸部レントゲンを照射野が分からないまま撮ると必要のない腎臓あたりまで被曝させるかもしれません!
普通のカメラであれば腎臓も写っちゃった(笑)で済むんですが、 レントゲンだと不必要な場所に無駄な被曝をさせたという
最悪な結果を招きます(´;ω;`)ウッ…
照射野って放射線技師にしか通じない!?
僕らは当たり前のように使ってる照射野っていう言葉ですが辞書にも載ってない専門用語なんですね(x_x;)
Yahoo!辞書で調べてもgoo辞書で調べても出てきませんでした。
確かにレントゲン以外で使う場面ってないですし、照射って言葉自体も使いませんね。
照射野は必要最低限の範囲にするのが基本
レントゲンの基本は最小限の被曝で最高の画像を!ということなので余計な被曝させないため照射野も必要以上に大きくしてはいけません。
新人の頃は毎日のように照射野が広すぎる!もっと絞れ!
とか耳が痛くなるほど言われます。
例としてリモコンの写真を撮る場合の照射野はこのぐらいです。

もしリモコンのレントゲンを撮る場合
こんな感じですね!あくまで例ですよ。。。
必要以上に照射野を狭くすると、見たい部分がギリギリ写ってるような写真になってしまい、怒られます。。。
結構人によるんですよね照射野って(x_x;)
レントゲン室が暗いのは被曝を最小限にするため!
照射野を見やすくする=被曝を少なくできるということですので暗くても怒らないで下さい。
明るいままだと照射野が曖昧になって被曝は増えるし、撮影時間は長くなるしで余計に怒れると思いますので。。。
病院やクリニックのホームページを見るとレントゲン室は暗いというイメージを払拭するために壁紙を明るくしました!
とかいう説明を見かけますが、素直に暗いことを認めてしっかりと理由を載せたほうがいいのでは!?と思う今日のこの頃です。